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第18回 マンガ図書館Z
旧作5000超を無料公開/ヤフーグループならではの施策も
 「マンガ図書館Z」は、Jコミックテラスが運営する、絶版、非電子書籍化、未単行本作品を中心に5000以上の作品をデジタル化して無料公開することを軸としたウェブマンガサービス/アプリである。新作ではなく旧作、それも版元が電子書籍化しなかった作品だけを扱い、いかにマネタイズするかという点で注目される。同社はヤフーグループ、GYAOの子会社である。
 
 アマゾンやグーグルといった外資が作ったレギュレーションで日本のマンガが規制されることへの対抗という目的があるため、規制の強いアプリよりもウェブブラウザ版に力を注ぎ、BL、TL、男性向けアダルトも取りそろえる。
 
 「みんなが名前を知っている作品だけが読まれるわけではない。打ち切られたものや未単行本作品でも、DAUが何十万といくケースもある。ネットに公開したことで人気が出れば、作家にとってもチャンスにつながる」(佐藤美佳取締役)
 
 ユーザーが任意のページ単位でシェアできる機能をビューアに実装するなど、より拡散しやすく、より拡散したくなるような施策も抜かりない。
 
 公開作品は比較的古い作品が中心のため読者の年齢は高いと思われがちだが、無料ユーザーは幅広くおり、男女比は半々。ただ、課金額が高いのはやはり作家や作品のファンであり、コアな読者向けにクラウドファンディングの企画をコンスタントに行っているのも特徴だ。
 
 「我々の行っているクラウドファンディングは、『ファンビジネス』という意味合いが強い。マンガ作品をPDF化してただ売るのではなく、例えば色紙を描き下ろしたり、作品ができあがるまでのネームを付けたり、作家との飲み会をセットにするなど。作家に新規に過度な負担が生じず、かつ読者が『これなら払う価値がある』と思ってくれるものに対してお金を募っている」
 
 運営費を除き、広告やプレミアム会員(有料月額課金)の収益、PDFやアマゾンでのプリントオンデマンドの販売額などを作家に最大限還元していることが周知されているため、「ここで読んだ方が作家のためになる」と感じるユーザーが少なくない。
佐藤美佳氏
 
 すでに収益トップクラスの作家は、過去作品の活用だけで月30万円以上が還元されるようになった。
 
 「Yahoo!ブックストアと提携し、ブックストアにない作品はこちらに誘導したり、作家が使わなくなったがファンからすると興味のあるものをヤフオク!に出品する企画を仲介するなど、ヤフーグループならではの施策を含め、作家が新しく手をかけずともマネタイズできる仕組みをさらに実現していく」

(飯田一史・ライター)

(2017年8月7日更新  / 本紙「新文化」2017年8月3日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。文芸とサブカルチャーを中心に活動するライター/編集者。著書に『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)、共著に『ビジュアル・コミュニケーション 動画時代の文化批評』『ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後のSF』などがある。
               
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