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第19回(最終回) マンガZERO
課金回数の多い高回転モデル/10年後でも読まれる作品目指す
 ゲームやカメラなど多種多様なアプリの企画・開発・運営を事業とするNagisaは、累計ダウンロード480万、月間アクティブユーザーは150万超、月間PV20億(単行本換算で1000〜2000万冊相当)の「マンガZERO」を筆頭に、女性向けの「マンガTiara」、10代向けの「マンガモンスター」、新潮社バンチ編集部と協業の「マンガの時間」といったマンガアプリを手がけている。
 
 マンガZEROは様々な版元のマンガ作品をいわゆる「話売り」形式で配信し、収益の比率は広告が6割、「コイン」制による課金が4割。「マンガZEROはユーザーの継続率が非常に高いことと、顧客単価は高くないが課金回数の多い高回転モデルであることが特徴だ」(Nagisa・漫画プラットフォーム事業部長・樋田顕氏)。ITベンチャーらしく、ユーザーの行動をフローごとに分けて数字を日次で管理し、特定の機能を消したり出したり、ランキングの表示位置を上げたり下げたりといった調整を繰り返してユーザー行動の変化を観察しながら、成長を加速させている。AppStoreやGooglePlayでマンガアプリとして上位表示される技術も蓄積しており、宣伝費を投じずとも、各アプリが1日1000〜1500DLされる仕組みを作っている。
樋田顕氏
 
「われわれは、各版元さんの作品の認知拡大、価値の再発見と最大化による新たな収益を生み出すことが1つのミッション。懇意にしている版元のミステリー系作品では、そのマンガを素材にして制作した宣伝動画や広告バナーを活用し、単月でSNSを中心に10億インプレッション(インターネット上における表示回数)を達成した。そこからグーグルの検索結果に影響が及び、コミックシーモアさんやめちゃコミさんなどの電子書店で動きが出始め、紙の単行本も動くという実績が作れた。当社のモデルで、グロスで年間に数千万円戻せる出版社も出てきている」。100を超える多数のアプリ開発・運営から得た経験から、版元からの協業アプリの話が多く出てきている状況で、今後はそういった企画も増やしていく方針という。
 
 マンガZEROでは他社作品を販売するに留まらず、今年4月から「月刊ジヘン」という自社レーベルを立ち上げ、10年後でも読まれる”ことを目指したオリジナル作品づくりも始めた。「作家さんとの打合せや作品に関する取材などもしっかり行った本格的な青年マンガを、ITの力を使って読者に届けたい」
 
 また、マンガ投稿サービス「uptoon!」を8月にスタートさせた。人気作品は「月刊ジヘン」に登用予定もある。「持ち込みや紙の雑誌への投稿に親しみのない世代に対して、新しい作品発表の場や読者とのコミュニケーションの場を提供していくことや、出版社と合同で新人賞などの企画を積極的に実施していくことで多様な才能と出版社を繋げ、作品づくりの可能性を広げられるようなプラットフォームを目指していきたい」という。

(飯田一史・ライター)

(2017年9月5日更新  / 本紙「新文化」2017年8月31日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。文芸とサブカルチャーを中心に活動するライター/編集者。著書に『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)、共著に『ビジュアル・コミュニケーション 動画時代の文化批評』『ポストヒューマニティーズ 伊藤計劃以後のSF』などがある。
               
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