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第2回 エブリスタ
従量課金導入で高収益化へ
 DeNAとdocomoが共同出資して2010年4月に設立した(株)エブリスタ。
 
 同社が運営する小説とコミックの閲覧・投稿プラットフォーム「E★エブリスタ」では、日次のユニークユーザー100万人、毎日1万人以上の人が作品を投稿している。
 
 アプリで配信した漫画「偽コイ同盟。」(原作/榊あおい、作画/アヤノ)は、AppStoreなどで3月中にも50万ダウンロードを達成する見込み。人気作家の新作やヒット作のコミカライズが月額210円で読み放題になる有料会員が収益を支え、設立から1年半で単月での黒字化を果たした。
 
 さらに、最近は作品ごとの従量課金モデルを試験的に導入、「クリエイターの方が作品を販売するプラットフォームとしても高い収益性が見込めそうだ」と池上真之社長は語る。
 
 docomoが運営するポータルサイトに、E★エブリスタへ誘導するボタンを置いているほか、ドコモショップ店頭でも携帯電話の契約時にサービス利用を薦めている。
池上真之社長
 
 現状ではE★エブリスタへの投稿作品は、ソーシャルゲームのプラットフォーム「Mobage」でも読むことができるが、この4月からは、さらにdocomoが運営する「dクリエイターズ」でも閲覧可能となり、会員数をさらに1・5倍には伸ばしたいという。
 
 「ユーザーのボリュームゾーンは20代、次いで10代と30代が同じくらいですね」。男女比は45:55程度。また、ケータイ小説ほど読者の郊外比率は高くなく、都市部の人間はそこまで多くない。さらに、「2ちゃんねるやニコニコ動画のユーザーよりはデジタルに強くない、ライトな『一般人』」と顧客像を語る。女性は恋愛ものを、そして男性はやや過激な作品を好む傾向にあるという。
 
 E★エブリスタの人気作品は、双葉社刊の『王様ゲーム』(金沢伸明)をはじめ各社が書籍化、ベストセラーにもなっている。
 
 それでも、池上社長は「版元になるつもりはありません。紙向けの作品づくりやビジネスのノウハウは、出版社や書店がすばらしいものを持っていますから。ただ、E★エブリスタ発の作品は、ふだん小説を読まず、まして書いてみようと考えたこともない層にもリーチしています。それを出版社の力を借りて書籍化していただくことで新しい出版市場を作り、新たな才能発掘に貢献できるのではないかと思います」。
 
 同社は今後、スマートフォン向けの小説やコミックなど、最終的なアウトプットが紙であることを前提としないデジタルコンテンツにも力を入れていくという。
 
 人気作品の読者が「自分でも書けるかも」と感じて創作者になり、次の人気作品を生むというサイクルができており、ユーザー数は前年度比50%増と伸長傾向にある。池上社長は、デジタルのコミックや小説のマーケットは今後2000億円を超える規模にまで拡大していくだろうと見込む。
 
 「これまでは定額課金を収益の中心にしてきましたが、今後は作品ごとの従量課金にシフトし、今まで以上にクリエイターと利益を分かち合っていきたいと考えています」
(飯田一史・ライター)
(2013年3月15日更新  / 本紙「新文化」2013年3月14日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。ライター、編集者。コンテンツビジネスに関するジャーナリスティックな活動から創作理論の講義まで、文芸とサブカルチャーを中心に活動を展開している。著書に『ベストセラー・ライトノベルのしくみ』(青土社)、共著に『21世紀探偵小説』(南雲堂)などがある。
               
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