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第15回 STORYS.JP
「人間のピュアさ」に共感
  今回紹介するのは小説投稿サイトではない。実名ベースの実話投稿プラットフォーム「STORYS.JP」だ。
 
  2013年暮れに刊行され、瞬く間に20万部を突破した坪田信貴『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に合格した話』(KADOKAWA アスキー・メディアワークス)の元になった物語が掲載されたのがSTORYS.JPである。運営会社ResuPressのマーケティングを統括する大塚雄介氏に話を訊いた。
 
  「サービスコンセプトは『名刺に載らないストーリー』です。名刺には、どういうことをしてきて、何を考えている人物なのかは書いていない。でも別に有名人でなくとも人にはそれぞれ物語があります。個々人のストーリーが軸になってつながっていく場所がSTORYS.JPです」
 
 
  著者の坪田氏は名古屋の塾経営者。同サイトに、自身と教え子の体験に基づく受験指南やコーチングについて投稿して注目を集めるまでは、全国的に知られた存在ではなかった。
 
  「STORYS.JPへの投稿がきっかけで『採用につながった』『その人のお店に行った』といったような使われ方が嬉しいんです。出版社やテレビ局などからたくさんお話をいただきますが、可能な範囲で対応させて頂いております。将来的には、人と人とのつながりから収益を生み出すしくみを考えています」
 
  13年2月にスタートしたSTORYS.JPは、都市部の20〜30歳のユーザーを中心に、現在約8000のストーリーが投稿され、週次で5%ずつ増えている。人気の記事はYahoo!JAPANやGUNOSY、Huffington Postなどでも紹介される。当初は「プロジェクトX」、日経新聞の「私の履歴書」的なビジネスのサクセスストーリーが集まるかと想定していたが、現在では入学・転職・起業や結婚・中絶・出産など、人生の節目となるライフイベントごとの体験談が、多種多様に書かれている。
 
  「ダメだった人間ががんばってハッピーになる。そういう物語はやはりSTORYS.JPでも人気があります。ただそれだけでなくて、不妊治療のように『自分と同じ境遇の人がいたら話を聞いてみたい。でも日常生活ではなかなか触れられない』話は拡散しやすい傾向があります。書いた人の素直な気持ち、人間のピュアな部分が書き込まれているものほど、共感されていますね」
 
  基本的に実名で実話を書いてもらうこともあり、運営側も利用者から顔が見える体制を意識し、ポジティブな場として機能するように尽力している。
 
  「人から体験談を聞けば『やってみようかな』『自分でもできるかも』と感じる領域ってまだまだあると思うんです」
 
  誰かのストーリーをきっかけにした潜在ニーズの掘り起こしーー人気投稿作品の書籍化以外にも、STORYS.JPと出版業界とのコラボレーションの可能性は、まだまだありそうだ。
 
  書籍化の検討・打診はyusuke@storys.jp、大塚氏まで。
 
(飯田一史・ライター)
(2014年4月11日更新/ 本紙「新文化」2014年4月10日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。ライター、編集者。コンテンツビジネスに関するジャーナリスティックな活動から創作理論の講義まで、文芸とサブカルチャーを中心に活動を展開している。著書に『ベストセラー・ライトノベルのしくみ』(青土社)、共著に『21世紀探偵小説』(南雲堂)などがある。
               
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