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第25回 大垣書店
カテゴリーとしての独立を
 専門店や複合店、郊外型の書店ではない新刊書店(一般書店)では、書籍化されたネット小説の売行きや扱いはどういう状況にあるのか。大垣書店(京都)営業本部サブマネジャー兼烏丸三条店店長の伊藤義浩氏に訊いた。
 
 「このところ文芸小説は新刊以外の動きが悪くなってきました。その補填分としてアルファポリスをはじめとするネット小説は、配本はまだまだ不安定ではありますが、以前に比べ動いてきていると感じております」
 
 まだ書籍化される数自体が少なかったころは展開するための棚がなく、コミックス側に置くか文芸側に置くか、社内で議論があった。コミックス側としては需要や問合せが多いためそちらの棚に置きたいが、コミックスやラノベの棚は一段ごとの高さが低く、そもそも本が入らない。
 
 文芸側は既存顧客との親和性が乏しい、年配の客が敬遠するのでは、という声が上がっていた。
 
 サイズと文芸既刊の売上数値を鑑みた結果、文芸コーナーに展開したが、いまだにそれが正解だったかはわからないという。
 
 「ネット小説に共通しているのはアニメ調の表紙ですが、文芸書サイズの場合はそういうものを好まないお客様に配慮して、ある程度絞って面陳しています」
 
 書籍化されたネット小説の購入者数はまだそれほど多くないが、新刊が出るとまとめて購入する客が多いため、入荷数が少なくても面で展開している。ただ、新刊の需要がひと段落すると、それ以降はさほど需要はないそうだ。
 
 出版社や取次会社に望むことを訊くと「取次コードによるカテゴリーの独立」、「何かネット小説だとわかる共通のしるし」、「版元横断の月間ランキング」といったことが返ってきた。
 
 というのも、ネット小説は現状ではカテゴリーとして独立していないため、書店の中の扱いはCコード分類もしくは取次が決定する部門(トーハンならTSBコード)に従って決定され、B6のものは文芸書、文庫サイズは文庫(ラノベ)として販売している。つまり、同じ「小説家になろう」発で書籍化されたものでも、本のサイズによって売場が異なり、すると必然的に違うスタッフが担当することになる。
 
 しかもそんな中、どうしても担当者レベルでの知識や判断に頼らざるをえない部分が大きいのが現状だ。確かにカテゴリーが独立し、版元横断ランキングができれば、現場スタッフにも来客者にも効率的に情報が伝わり、扱いやすくなるようになるだろう。
 
 「このごろ、学生アルバイトの面接で『どんな本を読むか』と聞くとまず半数がライトノベルだと答えます。そのうちネット小説を挙げる人も出てくるでしょう。ネット小説は、通常の書籍のように『本を出してから結果を見る』という出版形態ではないので、面白い本が確実に世に出てくると思っています。
 
 そうなれば、この業界の展望も明るい。紙の本を読む読者が今と変わらず、その時代にたくさんいればという前提ですが」
 
(飯田一史・ライター)
(2015年4月17日更新/ 本紙「新文化」2015年4月16日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。ライター、編集者。コンテンツビジネスに関するジャーナリスティックな活動から創作理論の講義まで、文芸とサブカルチャーを中心に活動を展開している。著書に『ベストセラー・ライトノベルのしくみ』(青土社)、共著に『21世紀探偵小説』(南雲堂)などがある。
               
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