出版業界 専門紙 新文化 出版業界スケジュール 情報掲示板 連載コラム 編集長のページ
第31回 comicoノベル
アプリ、版元、書店の連動
 累計1000万ダウンロードを突破したマンガアプリ「comico」(運営/NHN comico)が、ノベル機能を実装したのは2015年4月。comicoは書籍、映像、ゲーム、グッズなどへ展開することで収益化をめざす。アプリのユーザーは10代、20代が中心で、男女比は4対6。恋愛もの、学園ものといったジャンルが好まれている。
 
 すでにコミックでは『ReLIFE』(発行/アース・スター エンターテイメント)などのヒット作が生まれているが、11月には小説初の書籍化作品として櫻木れが『彼氏くんと彼女ちゃん』を双葉文庫から刊行。これは10月に創刊された、双葉社とcomicoが提携するコミックおよび小説のレーベル「comico BOOKS」の中の1点である。
 
 comicoノベルは、アプリ上では横書き。地の文は普通の小説と同じだが、セリフの部分をキャラクターの顔とフキダシを使って表示するという独特の形式に加え、comicoの人気コミックのスピンアウトをノベライズするなどして、小説を読み慣れていない若い層を惹きつけている。現在人気が高い作品「そのボイス、有料ですか?」は「音声付きノベル」というさらに独自の展開まで果たしている。
(c)櫻木れが/comico
 
 しかし書籍版は縦書きにしてアイコン表示をなくし、代わりに情景描写や心理描写を加筆修正した「一般文芸」として販売する。
 
 双葉社はcomico BOOKS創刊にあたり、書店に対して「応援店」(ノベルを含む「comico」全体の応援店)を募集。北海道から沖縄までの約450店舗が集まった。comicoの作家は全国にちらばっているため、その作家の地元など、タイトルによって販売に地域性が出ることも考えられるという。
 
 応援店には、拡材セット(POP、ポスター、販売台、配布用試し読み小冊子、棚プレートなど)を送付。また、展開にあたり、双葉社以外のコミコ書籍も「comico棚」として展開してもらうよう要望している。なお、comico BOOKSの創刊タイトル(コミックス)で一番の売筋は『パステル家族』だという。
 
 「弊社の『アクションコミックス』のほかのタイトルと比べても、ネット書店での事前予約は多く、関心は高い。comico側でも、『comico BOOKS』の創刊にあたり営業部員をひとり採用したと聞く。同社は書店と一緒に何ができるかを考えているし、本気で本を売っていきたいとの姿勢が伝わってくる」(双葉社・営業担当の酒井正浩氏)
 
 ユーザーに対しては、アプリ内で「あなたのお近くの応援店はこちら」といった告知も積極的に行っている。
 
 アプリ、版元、書店が連動し、それぞれのノウハウを活かしたプロモーション/販売手法から次のヒットが生まれる日は、遠くないかもしれない。
 
(飯田一史・ライター)
(2015年11月6日更新/ 本紙「新文化」2015年11月5日号掲載)
飯田一史プロフィール
1982年生まれ。ライター、編集者。コンテンツビジネスに関するジャーナリスティックな活動から創作理論の講義まで、文芸とサブカルチャーを中心に活動を展開している。著書に『ベストセラー・ライトノベルのしくみ』(青土社)、共著に『21世紀探偵小説』(南雲堂)などがある。
               
購読のお申込は
↓コチラから↓
購読お申込み
「新文化」案内
会社概要
アクセス・地図
出版物
お問い合せ
メール送信
リンク

新文化通信社