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第2回 「女の道は一本道でございます」

 初めまして! 太洋社のカワハラと申します。
 まだまだ知識も経験も浅いこの身、先輩のイデにアメとムチの指導を受けながら日々アンテナを張り巡らせております。以後、よろしくお願い致します。


 さて。
 街にはイルミネーションが輝き、年の瀬も押し迫ってきた今日この頃。
 プレゼントやケーキ、骨付きチキン等々、いそいそとクリスマスの計画を進めている方も多いかと思いますが、毎年私が楽しみにしているのは12月24日のその後です。
 思い起こせば十数年前、祖母と並んで観たのが始まりでした。
 それは…年末年始のお約束・時代劇ドラマ怒涛の放送ラッシュ!


 お正月気分を盛り上げる様々なスペシャルドラマが控えていますが、今、時代劇を語る上で外せないのはやはり「篤姫」。近年放送のNHK大河ドラマでは一番の視聴率を誇り、“幕末大河ものは視聴率が取れない”というジンクスを覆しました。宮アあおいをはじめとした若手実力派、そしてそれを重厚な演技で支えるベテラン陣…キャストはもちろん、人と人との絆をメインに据えた感情移入しやすいストーリー展開が、観る者の心を掴んだように感じます。2003年制作の「大奥」(フジテレビ)を観ていた視聴者が既に幕末の時代背景を理解していたことも、ヒット要因のひとつではないでしょうか。


 NHK広報部によると、従来の大河の視聴者は中高年を中心に男性の比率が高かったのに対し、今回は20〜30歳代の女性が見ているのが特徴なんだとか。煌びやかな衣装をまとい、動乱の世を影から支える――思えば大奥は当時の女性にとって憧れの職場。「女の道は一本道でございます。引き返すことは恥にござります」私もこの台詞に勇気をもらったひとりです。
 先日発表になった「2008年ユーキャン新語・流行語大賞」の受賞者が全員女性だった点からも、今年の世相にぴたりと合ったドラマだったのかもしれませんね。


 そして、「篤姫」ブームも醒めやまぬ年明け早々、1月4日から放送を開始するのが2009年のNHK大河ドラマ「天地人」。兜に愛の一文字でおなじみの戦国武将・直江兼続が主人公です。こちらも「篤姫」同様若い女性に人気が出るのではないかと予想していますが、そう言い切るのは今年以上に旬の俳優を多数起用することだけが理由ではありません。
 先日、某歴史専門書店で、『殿といっしょ』(大羽快/メディアファクトリー)や真田家の家紋である通称・六文銭をあしらったグッズの前で女子高生が黄色い歓声を上げているところに遭遇しました。また、巷では歴史オタクの“聖地巡礼”ならぬ“史跡巡礼”が流行し、年配の観光客に混じって若い女性が熱心に写真を撮る姿が話題を呼んでいます。


 これらのブームの火付け役とされているのは人気ゲームソフト「戦国BASARA」。戦国時代の武将が対戦するアクションゲームでPS2とWiiで展開、現在までに100万本ほど売り上げています。戦国時代に詳しい人が見たら卒倒しそうな奇抜な設定(英語で挑発してくる伊達政宗・滝のような涙を流す真田幸村等々、しかも全員美形)でも、それを入り口にファンが増えるなら武将も浮かばれるはず。興味を持つきっかけさえあれば、そこから貪欲に資料をかき集め、関連書を探し、参考文献に納得して、視野を広げることができるのですから。


 というのも、私自身が史跡巡礼をするほど2004年の大河ドラマ「新選組!」に熱狂しているから。
 名作『燃えよ剣』(司馬遼太郎/新潮社)→コミック『PEACE MAKER』(黒乃奈々絵/マッグガーデン)→大河ドラマ「新選組!」…そして今、「新撰組!」に出演していた俳優が主演を努めるドラマ「陽炎の辻〜居眠り磐音 江戸双紙〜」→原作『居眠り磐音 江戸双紙』(佐伯泰英/双葉社)という轍を踏もうとしています。つくづく我ながらミーハーだと思いますが、同じ流れを汲んでいる同志は意外にも多いようで、出版社様から佐伯泰英作品を購入する20〜30代の女性が増えてきたというお話を伺ったときは驚きました。
 作家陣が大御所から新しい書き手に移り変わるように、読者もまたその層を拡大しています。
 自らの本棚を顧みて、時代小説の新たな読者層はきっと基礎知識がない分、熱狂的で貪欲で雑食なんだろうなぁと思いました。


 「篤姫」、「天地人」、「居眠り磐音スペシャル」にお約束の「忠臣蔵」、一挙10時間放送の「寧々・おんな太閤記」、さらに2010年放送の「龍馬伝」まで。古きよき日本に思いを馳せ、来年は動乱をたくましく生きた先人たちに恥じない一本道を歩きたいものです。
 どこかに置いてきた“女性の品格”を探しながらの道程ゆえ、寄り道や道草が多くなることは間違いなさそうですが…。

(河原いづみ)

(2008/12/9)

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