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第10回
旅立つ本たちと愛読者はがき
版元から旅立つ本たち
新生活のスタートの時期となりました。
今年の東京の桜は咲き始めから満開までが駆け足で過ぎ去っていったように感じます。
そして、新刊の発刊もピークを迎えています。
卒業シーズンは終わりましたが、
版元としては、
本たちが旅立っていくのを見守っているような心境のシーズンです。
そう、この時期は
本が編集者の手元を離れて、書籍として店頭に並ぶという
別れの時期でもあります。
 
その心情は
本の旅立ちを祝う気分のようであり、
本が良き人に出会えることを願うようであり、
不安と期待の入り混じった、子供を送り出す親の心境です。
 
親としては、子供たちがどのように暮らしているのか気になるところです。
が、しかし、本たちは、委託制度のもと、
いわば版元から本屋さんの店頭までの往復切符を持っているようで、
返品されて、
ひょっこり、倉庫に返ってきたりします。
 
我々は「おー、よく帰ってきたな!」と感慨にふける・・・
ということはなく、
「欲しいと思っている人に見つけてもらえなかったのか・・・」と、
ただただ、自分の至らなさを痛感するのです。
 
大きな○の喜び
返ってこない本は無事、良き人に巡り合えたのでしょう。
多くの場合、その後にどのようにしているのかを知る術はありません。
しかし、「愛読者はがき」がその消息を教えてくれます。
 
これはユーキャン学び出版だけではないのですが、
「愛読者はがき」には
あらかじめ、質問を設け、
回答の選択肢に○をつける
という方式が一般的です。
 
自分が出版側にくるまでは、
気にはならなかったのですが、
「これって、
向田邦子さんの有名な随筆である『字のないはがき』なんじゃないか。」
と思うようになりました。
 
「字のないはがき」というのは、
向田邦子さんの父が、
幼い妹を疎開させる時に
おびただしいはがきに宛名を書き、妹に持たせて
「元気な日はマルを書いて、毎日一枚ずつポストに入れなさい」
と言って聞かせる・・・
というお話でした。
(同僚はこの話を「知らない」と言っていました。しかし、小学校で習った気がするのですが・・・。知らない方はぜひ読んでみることをお勧めします。)
 
さて、
それに大きくマルがついているのか、
小さなマルなのか、
×なのか。
 
だから、今日も愛読者はがきに目を通す。
 
大きな○であることを祈りながら。
 
(2015年4月3日更新)
 
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