第12回 若年層に刺さるプロモーション施策、「ピッコマ」運営会社に聞く・下

 前回に続いて、マンガアプリ「ピッコマ」を運営するカカオピッコマに、若年層に刺さるプロモーション施策を聞いた。
 「2019年12月に配信を開始した、HoneyWorks『私、アイドル宣言』のSMARTOON(縦スクロールコミック)版は、10~20代に人気です。更新されると、Twitter上で約400~500リツイート、1000以上の〝いいね〟が付き、若い人向けのプロモーション作品として、弊社では位置づけています」(PRチーム 広報・清原あすか氏)
 同社では20年2月から、全体の広告費の10~15%を投入し、TickTokへの出広に力を入れている。TickTokには最大60秒の動画を投稿できるが、露骨な広告を嫌う若年ユーザーの邪魔にならないよう、テンポのいい音楽に合わせて作品を紹介。「ひとつのコンテンツ」として観られるような、30~50秒の動画を制作している。
 こうした広告動画で紹介した『お見合い相手はうちのボス』『公爵夫人の50のお茶レシピ』などには、既読ユーザーが推薦コメントを自発的に書き込むといった反応もあり、「女性向けのTickTok広告は好評です」(清原氏)。
 また20年10月から、YouTube広告「ホッと、ひとコマ。」シリーズを配信。若い世代に人気の声優を起用し、SNSで高い反響を得た。
 YouTubeは、ユーザーが「自分が観たい映像を一刻も早く観たい」という気持ちで利用することが多いメディアだ。そのため広告動画には、視聴者が観てもあまり気を悪くしないようなテイスト、心地良く過ごせる音楽などを用いている。
 「TickTokとYouTubeでは刺さるものが違うため、それぞれに合わせて広告を作っています。ただ、いずれの動画サイトも、InstagramやTwitterも、隙間時間の利用が多い。ピッコマが提供する、『短時間で消費できて気軽に楽しめるスナックカルチャーコンテンツ』とユーザーニーズが重なります。だから、SMARTOONをアニメ的に加工した広告動画が響いたのでしょう」(執行役員・熊澤森郎氏)
 SMARTOONから読み始めたユーザーも、平均3カ月ほどたつと、日本の出版社が提供する出版マンガを読むようになる。ピッコマでは、従来のおおよそ1日1話ずつ読める「待てば¥0」に加えて、1回5話分、1日2回配付されるチケットを使って読める「¥0+(ゼロエンプラス)」を、20年7月からスタートした。
 「¥0+には、長く量を読むことでハマる作品が相性が良いようです。異世界ファンタジー以外でも、『静かなるドン』をはじめ、読者の年代からすると意外なものも読まれています」(熊澤氏)
 ユーザーに敵視されないような広告で、アプリをダウンロードしてもらう「入口」の設定。また事業者側が中期的な時間軸をもって読者に多様な作品に触れてもらい、それによって「定着」を図る施策--それらが移り気な若年層の獲得・維持には重要なようだ。
(2022年1月5日更新  / 本紙「新文化」2021年12月23日号掲載)