兼森理恵氏プロフィール
1976年東京都生まれ。99年ジュンク堂書店入社。池袋本店、新宿店を経て、丸善丸の内本店勤務。児童書ジャンルアドバイザー統括チーフ、EHONS商品開発などを担う。
書店業の傍ら、児童書レーベル「らいおんbooks」で出版にも携わる。
本屋?いやいや、やりたい屋。
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本屋?いやいや、やりたい屋。
第27回 日常にひそむ不思議
春一番が吹き荒れたある日のこと。強風のせいで遅延している電車はなかなか進まない。やっと次の駅に着いたと思ったら、「バチン」と車内が真っ暗になった。アナウンスもない。しばらくすると何事もなく灯りがつき、電車は扉を閉めると走 […] -
本屋?いやいや、やりたい屋。
第26回 大事な違和感
年末、夫がインフルエンザになった。コロナのときもだが、家族が罹ってもなぜか私は一切感染しないのだ。(ものすごく図太い抗体があるに違いない)とはいっても保菌しているかもしれないので、予定していた忘年会はすべて自粛。年が明け […] -
本屋?いやいや、やりたい屋。
第25回 心と体が整うと
40歳目前で、なぜだかわからないのだけれど、むくむくと「なにかを習いたい」という欲が湧いてきた。元々飽き性で、子どもの頃から、ピアノ、水泳、お習字など色々やったけれど、ものになったものは一つもない。出版社主催の勉強会にい […] -
本屋?いやいや、やりたい屋。
第24回 豊潤な秋、浮かれる私
胸の高鳴りが抑えられない。届いた本をそっと撫ぜる。キラキラまぶしい表紙。焦げ茶色の木の棚に、少しくすんだ水色が映える。らいおんbooks、待望の新刊。私が編集に関わらせていただいた、堀川理万子さんの『ひみつだけど、話しま […] -
本屋?いやいや、やりたい屋。
第23回 恋の季節
このところ、本当に忙しい。書店の仕事が休みの日のスケジュールはびっしり。今日も今日とて、デートである。待ち合わせは新宿の喫茶店。これから担当作家さんとの愛しい時間だ。 児童書の出版レーベル「らいおんbook […] -
本屋?いやいや、やりたい屋。
第22回 四半世紀ぶりの再会
「道場の開設20年の記念に道場生すべての名前を入れたTシャツをつくるので、あなたの名前も入れさせてくださいね」 先生からそんなメッセージが私に届いたのは、2019年のことだった。 20代前半、私はもがいていた。就職もせず […] -
本屋?いやいや、やりたい屋。
第21回 五感で読む
帰国中の甥姪と、今年もディズニーシーへ。去年初めて体験したアトラクション「ソアリン」に今年も乗りたいと、炎天下のなか行列に並ぶ。空飛ぶ乗り物ドリームフライヤーに乗って世界を旅する人気アトラクションだ。最新のデジタルプロジ […] -
本屋?いやいや、やりたい屋。
第20回 伝えたいから生まれる言葉
アイルランドに住む6歳の姪の作文がLINEで送られてきた。お題の「すきなおべんとうは」に続く形で書いてあるのだが、お腹が痛くなるほど笑ったあと、ちょっと感心してしまった。 「すきなおべんとうはきめれません。でもあるかもし […] -
本屋?いやいや、やりたい屋。
第19回 カブティーの生き様
この間、新入学のフェアを引いたと思ったら、もう夏休み。6月の下旬には夏の商品が入荷してくる。本当に季節が巡るのは早い。うかうかしていたら、あっという間にクリスマスだ。 それにしても、この数年の自由研究キットの種類の多さに […] -
本屋?いやいや、やりたい屋。
第18回 私の推し活事情
「大好き会」のメンバーの一人でもある編集者のCちゃんは、「すとぷり」に沼っている。「すとろべりーぷりんす」という顔出しをせず、主にYouTubeを主戦場に活躍する6人組のグループだ。たまに「推しの曲聴いてー!!」と彼女か […] -
本屋?いやいや、やりたい屋。
第17回 5人いる!
4月某日。久々に出張以外で新幹線に乗っていた。目的地は岩手の新花巻。大沢温泉での「鬼ヶ島通信」の合宿に参加するためだ。「鬼ヶ島通信」は新しい子どもの本の世界の構築を目指す雑誌で、佐藤さとるさんが始められた。今は編集長の那 […] -
本屋?いやいや、やりたい屋。
第16回 明日私が死んでも
新規の出店が続いている。とは言っても私はほとんど何もしていなくて、頼もしい各店児童書精鋭メンバーが奮闘している。児童書の統括チーフなんて肩書がついているくせに、もっぱらEHONSに時間を取られている私は、メンバーからのメ […] -
本屋?いやいや、やりたい屋。
第15回 見えないものの値段
先日、ちょっと素敵なイタリアンで業界の先輩と3人で飲んでいたら、流しのマジシャンが入ってきた。「おもしろかったら気持ちでいいのでお金を払ってください」とその若いお兄さんがいうので、軽い気持ちでマジックを見せてもらうことに […] -
本屋?いやいや、やりたい屋。
第14回 本で人は繋がる
BOOK FUN LETTER 2023が始まった。2019年から丸善ジュンク堂書店で開催している「好きな誰かに、好きな本のことを、手紙を書いて伝えよう」という企画だ。楽しかったことや、うれしかったことを手紙として送る […] -
本屋?いやいや、やりたい屋。
第13回 いろんなわたし
先日某児童書業界誌にインタビューしていただく機会があった。それも書店員としてではなく、編集者として。聞き手は、業界の大先輩。懐深いインタビュアーにすべてを委ね存分に話をさせてもらいながら、あらためて、自分をなぞっていく […] -
本屋?いやいや、やりたい屋。
第12回 忘れられないクリスマス
児童書担当にとって一番地獄のような期間、それはクリスマス。街が浮かれれば浮かれるほど、殺伐とする私たち。一番の山場は12月だけれど、品出しは11月の頭。大量に仕入れた商品を配架し一息ついた頃、別店舗で働く後輩が店に寄っ […]