第19回 中高生に確実に本を届けるために、学校・公共図書館現場への提言

 中学・高校の学校図書館や公共図書館が、YAサービスについて書いた近年の書籍や雑誌をまとめて読んだ。苦々しい気持ちになった。司書による施策の成功事例が、なかなか見当たらないからである。
 子どもが小学校から中学校、高校と進むにつれ、不読率は上がり、平均読書冊数は減る。小・中は昔より読書冊数は伸びているものの、高校はほぼ横ばいだ。高校生の読書推進、図書館利用には、大きな課題がある。
 では図書館はそれにどう取り組み、うまくいった事例にはどんなものがあるのか? と思って調べたところ、前述の通りだった。
 例えば「学校図書館と地域の公共図書館が連携し、高校の図書委員に公共図書館で推薦本を選んでもらい、逆に公共図書館司書も高校図書館向けに選書するという企画を実施した。前者は貸出冊数が伸びたが、司書が選んだ本はほぼ読まれなかったため企画が打ち切られた」とか、「ライトノベルをアーカイヴする試みを始めたが、利用者が少ない」といった具合である。
 なかには「公共図書館のYAコーナーの利用者増のため、ラノベの蔵書を充実させるべきだ」と記した一文もあった。だが中高生のラノベ離れは進んでおり、やみくもに本を入れても何の意味もない。
 こうしたことから、YA担当であっても、中高生が実際に読んでいる本がどんなものなのか知らず、若い人たちが何を好み求めているのか把握していない図書館員が結構いるのでは、と疑いたくなる。大人の目線で読ませたい本を押しつけるか、「こういうものが好きなんだろう」という〝イメージ〟で、仕事をしているように見える。
 いうまでもなく、教育機関でもある図書館は、利用者の〝目立つニーズ〟に応えさえすればいいというものではない。しかしそれにしても、ニーズ自体を「知らない」のは論外だ。自分が求めてもいない本を読みたがる人はいないし、それでは第一、読んでほしいと思う本も届くわけがない。中高生に確実に本を届けるには、彼ら/彼女らが「これは自分が求めているものに近い」と思える切口から紹介することが大事なのだ。
 もし分からないのであれば、さきに紹介したように、中高生自身に同年代に向けてオススメ本を挙げてもらう、などを試みてはどうか。まずは、本と図書館に興味を持ってもらうところから始めたほうがいい。
 もちろん、図書館は本を貸し出すだけの場ではない。さまざまな企画、サービスを通じて利用者の課題や疑問を解決したり、人と人とが触れ合い、能力を育成する場でもある。だがそれらの機能も、中高生が求めるものとズレていたのでは、結局何も利用されないまま終わってしまう。
 それを避けるには、当事者である中高生が企画立案から参加するものを増やし、彼ら/彼女らのニーズの勘どころを大人が理解すべきだろう。
 とかく学校や図書館は、「こういうものを読んでほしい、学んでほしい」といった規範を子どもに押しつけがちだ。だが「受け手(子ども)の視点から考える」ことを意識して努力すれば、高校生にとって図書館や本は、もっと身近なものになるはずである。
(2022年8月26日更新  / 本紙「新文化」2022年8月4日号掲載)