第3回  つっちゃんの本、入りました!

 「つっちゃんの本、入りました!」待ちに待ったそれは、流行りのアイドルの写真集、ではなく、月刊絵本「たくさんのふしぎ」の3月号だ。

 タイトルは「都会で暮らす小さな鷹 ツミ」(福音館書店、兵藤崇之文・絵)。この3年ほど、自宅のベランダにかっこいい鳥がやってくる。名前がわからず、お店の図鑑を片っ端から見ていったら、ツミという鳥に辿り着いた。
 一番わかりやすかったのは、図鑑NEOの『鳥』(小学館)。細密画で描かれたツミは、完璧なまでに私が見たものと一致し、おまけにつがいだということも判明した。鳩くらいの大きさだが立派な猛禽類。うちのマンションの中庭にはオナガがたくさんいて、どうやらそれがお目当てのよう。貴重な捕食の姿なんかも見せてくれ、つっちゃんと呼ぶようになり、もうすっかり虜だ。
 知りたいことがある時は、子ども向けの本に助けてもらうことが多い。児童書のノンフィクション分野は本当に偉大だ。知識や経験値の少ない子どもにもわかりやすく真実を教えてくれる。故に、私の頭にも難なく入ってくれるのだ。体験して思うのだけれど、自分で調べた事は忘れない。私がノンフィクションの本を紹介する時は実体験がにじみ出るようで、お客様に共感いただけることが多い。そう、興味を持ったもの、そして、自分の力でその中身を掘ったものでないと血肉とならないのだ。こうやって、私の商品知識は育っていく。もっともっと充実させるためには色々なものに「好き」という気持ちを持った方がいい。ミーハーなぐらいがいいなと、最近は思う。

 そんな私が感銘を受けたのが、『ぼくの「自学ノート」』(小学館、梅田明日佳著)だ。
 梅田さんは新聞記事の切り抜きを貼り、感想や調べたことを書き込む「自学ノート」を小3から続けている。興味や疑問を見つけ、膨大な文献の海から時間をかけて自分の答えを探し出す。また、ノートを通して多くの人達と交流を深め、世界を広げている。すぐ答えが出せてしまうと、人は考えなくなる。でも、考えることをやめなければ世界は変わっていく。梅田さんに背中を押される思いだ。
 商品知識が増えるほど、自分も豊かになる気がする。書店員としても人としても、まだまだ進化の途中なのだ。
(本紙「新文化」2022年3月3日号掲載)