10月3日、北日本図書館連盟研究協議会兼第23回福島県図書館研究集会にお招きいただき、書店と図書館の連携について話をさせていただいた。続いて福島県矢祭町、北海道留萌市、岩手県盛岡市の図書館関係者による書店と図書館との連携に関する事例発表があり、その後、発表者とのディスカッションのコーディネーターをつとめさせていただいた。
なかでも、留萌市立留萌図書館の伊藤隆康館長による留萌ブックセンターby三省堂書店についての発表「書店再生 図書館は何をした/市民連携プロジェクト」には感銘を受けた。2010年12月、市内唯一の書店が倒産し、参考書販売が大きな課題となったことが書店誘致の発端だったそうだ。その後、三省堂書店が参考書販売に名乗りをあげ、一般書も並べて販売したところ好評だった。スポット的な販売を想定していたが、市内の本好きの主婦らが「三省堂書店に残ってもらおう」と動き出す。図書館の指定管理者であった留萌スポーツ協会が、市民ボランティアの書店誘致運動を支えるべく、活動拠点の提供や事務局機能を担うなど支援体制を構築し、一丸となって書店誘致を進めた。報道機関も支援記事を書き、徐々に市民に書店誘致の機運が浸透していった辺りを語る伊藤館長の想いに胸を打たれた。
翌年、活動が実り留萌ブックセンターが立ち上がるのだが、大事なのはふたたび書店を無くさないために、誘致後も支援、サポート体制が続いていることである。ひとつの特別な事例とせず、想いと行動し続けることの大切さを学びたい。
(本紙「新文化」2025年10月30日号掲載)

