第118回 経産省の新方針

経済産業省は、10月23日に開催した「第8回エンタメ・クリエイティブ産業政策研究会」において、これまでのクールジャパン政策の成果と課題を整理し、2033年に日本発コンテンツの海外市場規模20兆円の目標を実現するための新たな政策の方向性を示した。

(1)「大規模・長期・戦略的に支援する」(2)「日本で創り、世界に届ける取組を支援する」(3)「作品の中身に口を出さない」(4)「真っすぐ届ける」(5)「挑戦者を優先する」の5つである。

日本発コンテンツは現在、アニメやゲームが中心となっている。一方で、原作となる書籍については後手に回っている感が否めない。日本の出版業界は、マンガだけではなく、小説から実用書、児童書、専門書まで裾野がとても広く、需要を掘り起こし切れていない状況にある。

同省の支援では、マンガ・アニメコンテンツだけに限らず、日本のすべての出版コンテンツが、世界中の読者に届けやすくなる環境を整備し、日本のコンテンツ産業を底上げしてもらいたい。

真っすぐ届けるための環境整備は喫緊の課題であり、挑戦者を優先するという同省の言葉を信じるならば、そこにチャレンジする書店が増えていくことを期待している。

僕は、海外展開を進める大手書店だけではなく、書店が日本のすべての出版コンテンツを世界に発信する拠点であってほしいと思っている。書店は、出版コンテンツの「国内需要」を示す市場コンセンサスの場であるのだから。

(本紙「新文化」2025年11月13日号掲載)

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