第110回 住民のメリット考え連携を

6月末の福島県高等学校司書研修会県大会から、今年もNPO法人読書の時間の自治体行脚が動き出すことになる。

ありがたいことに、今年も全国各地の図書館・学校図書館関連団体からお声がけいただいている。昨年に引き続き、お題はすべて書店と図書館の連携についてであり、連携の機運が高まっていることを実感している。

事前打ち合わせ時、参加者の属性分布の説明があり、学校図書館関係者に交じって、書店関係者10名という記載があった。

この研修会には、毎年書店関係者が参加されているのか尋ねたところ、書店関係者を交えての研修会は今年度がはじめてなのだという。僕は、基調講演を担当させていただくのだが、その後のワークショップの講評も請け負うことになっている。

ワークショップのテーマは、「学校図書館が地域書店との連携を図ることの意義」を 考えることだという。

書店は民間の営利事業の小売店であり、図書館は行政が運営する教育施設である。そもそもの目的、求めるものが異なるからこそ、どう連携するかの前に、まちづくりに関わるプレイヤーも交えて考え、話し合うべきことがある。

学校図書館関係者の皆さんは、書店関係者と議論することを楽しみにされていた。当日は、どんな議論が交わされるのだろうか。書店側から「図書館と連携することで地域の住民の皆さんにどういうメリットを与えることができるのか」という前向きな話が出てくることを切に願っている。

(本紙「新文化」2025年7月17日号掲載)

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