第120回 「ザ・本屋さん」と子どもたち

北海道・帯広市を中心に4店舗を展開している書店「ザ・本屋さん」が主催し、帯広市教育委員会が共催して開催された「読書の時間」ワークショップのため帯広市立図書館を訪れた。

同社の高橋智信社長には一昨年から、子どもたちの読書環境整備や書店が主体的に働きかけをして実施する読書推進活動の可能性について、相談させていただいていた。「地域の子どもたちの読書のお手伝いがしたい!」という高橋社長の強い想いから実現した企画だった。参加した子どもたちが、楽しそうに取り組んでいて、これまで手にすることがなかったジャンルの本を懸命にめくる姿があった。

ワークショップには、高橋社長も参加してくださり、子どもたちに交じってワークショップのメニューをこなしてくれた。序盤の「なぜ本を読むことが大事なのか」を考えるパートでは、講師からいくつかの質問をするのだが、隣り合わせた子どもたちと一緒に会話をしながら悩んでいる高橋社長の姿がほほえましかった。

「帯広市立図書館に来たことがある人」という問いかけに半分の手が上がる。「ザ・本屋さんに行ったことがある人」には、すべての子どもたちの手が上がった。書店は、子どもたちにとって本との出合いの大切な場なのだ。

教育委員会関係者の皆さんをはじめ、書店員や司書にも見学してもらい、嬉しい感想をいただいた。

「読書の時間」が、地域の本に関わる皆さんの接点となり、今後の連携につながれば幸いである。

(本紙「新文化」2025年12月11日号掲載)

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