第57回 農村と読書そして書店

一般社団法人家の光協会の農村読書調査をご存じだろうか。1946年から毎年7月に月刊誌・週刊誌・書籍の読書状況や購読状況、新聞・テレビの接触状況などを調査し、その結果は「農村と読書」としてまとめ、公表している。日本に多々ある年次読書調査でも最も伝統がある調査の一つである。かなり細分化された設問があり、毎年興味深く拝見している。

また、家の光協会では、18年前から読書ボランティア講座も開催しており、農村部を中心に地方で活躍する読書ボランティアの育成に尽力されている。同講座のテキストである「あなたもできる読書ボランティア入門」では、読み聞かせの心得からはじまり、本の持ち方、めくりぐせのつけ方、ページのめくり方、本の見せ方、そして本の読み方などが分かりやすくイラスト付きで紹介されている。さらには、おはなし会の開き方やプログラムの組み方が、対象年代別にまとめられており読書ボランティアして活動した方にとってはすごく参考になるテキストとなっている。

読書ボランティア講座を中心として、各地のJAグループと家の光協会が連携し、農村部の読書推進が行われている。農村部は比較的、書店空白地が多い地域でもある。それぞれ団体や取引先の属性はあるとは思うが、本を介した地域貢献の形と可能性を感じることができる。

この後は、JAグループと連携し、書店空白地を減らすべく、農村地域に書店を、という動きが生まれることを期待している。

(本紙「新文化」2023年5月11日号掲載)

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