第18回 私の推し活事情

「大好き会」のメンバーの一人でもある編集者のCちゃんは、「すとぷり」に沼っている。「すとろべりーぷりんす」という顔出しをせず、主にYouTubeを主戦場に活躍する6人組のグループだ。たまに「推しの曲聴いてー!!」と彼女から熱っぽくURLが送られてくるのだけど、アイドルテイスト満載の楽曲は、意外と悪くない。動画に彼らはほぼアニメで登場していて、二次元とリアルのよさがあるのかなあと思う。

最近は自分の友だちを待ち受けにしたり、アイドルに見立てて推すのがZ世代で流行っているというニュースをみた。なーんだ。私、そんなのとっくにしてるじゃん。大阪に「梅田の天使」と呼ばれる大好きな同僚がいる。出張なんかで長く一緒にいると、さよならするのが本当につらい。いつもするのは彼女の写真と動画をたくさん撮ること。サービス精神旺盛な彼女はいつも自作の歌やダンスを踊ってくれるので、帰りの新幹線ではビールを飲みながら、彼女の姿を愛でるのがお決まりだ。いつも私に元気をくれる彼女の存在は本当に尊い。

大好きすぎて、漫画もアニメも実写ドラマも見ているのだけれど「推しが武道館いってくれたら死ぬ」(徳間書店、平尾アウリ作)は、本当にそのあたりのことをキラキラと描いてくれているいい漫画だなあと思う。岡山の地下アイドルCham Jamを応援するいわゆるオタ活のお話なのだけれど、メンバーのなかで一番目立たない舞菜に恋に落ちたえりぴよさん(これがまた不器用で男前な女子なのだ!)の奮闘は、好きな人がこの世に存在してくれているだけで、立派に生きる理由になることを教えてくれる。

その「尊い」存在のために生み出されるエネルギーのどんなに大きいことか! えりぴよさんの推し舞菜にすっかりハマってしまい、今はアニメ版のCham Jamの楽曲はほぼ歌えるようになった。すっかり洗脳された私は、今ではすとぷりと交互で聴いている。えれぴよさんもCちゃんもオタの鑑だ。

「推し活」という言葉が浸透したのはここ数年だけれど、元来気が多い私は色々なモノにハマってきた。好きな気持ちはパワーを生み出す。それが今の仕事にも繋がっているように思う。

EHONSでグッズをつくることも、推し活に近い。その絵本の一番にファンなること。そして、多くの人に広まることを願って発信することは、推し活以外の何物でもない。好きなものに囲まれてそれを手渡す仕事ができる私は、本当に幸せ者だ。Cちゃんくらいの熱量で布教に励みたい。

(本紙「新文化」2023年6月8日号掲載)

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