第77回 夢を語る人たち

梅田 蔦屋書店の店長であり、本屋博の仕掛け人でもある北田博充さんの8年ぶりの著書『本屋のミライとカタチ 新たな読者を創るために』(PHP研究所)の刊行を記念して2月22日に、六本木 蔦屋書店で「『これからの本屋』を面白くするためにできることは?」と題したトークイベントが開催された。

僕も、第2部で内沼晋太郎さん(NUMABOOKS)、有地和毅さん(ひらく)とともに登壇させていただいた。内沼さんは「〈本屋×〇〇〉をしていくことは、今や王道」と語る。本屋B&Bで催している「英会話×読書会」、YouTubeでおすすめの本を紹介する「本チャンネル」を中心に、購買を考えるきっかけとなる「カテゴリーエントリーポイント」を創るためにできることをお話されていた。

「本屋や書店員が別の形で社会に出ていくのは大切だと思う」と話す有地さんは、書店員がもつスキルに着目し、「コミュニティデザイナーに変化していく余地がある」と呼びかけていた。

僕は、本屋業界の外の人たちに本屋を活用してもらい、本を通じた新しい何かを生み出してもらうことがとても大切であり、ヒントは業界の外にある、といういつもの主張をお話させていただいた。

『本屋のミライとカタチ』には、本屋業界の外の人たちと、どう接点を持っていくかのヒントが詰まっている。

業界には北田さんのように夢を語る人たちが必要であり、業界がその人たちにインフラを提供できる仕組みをつくることもまた大切なのだと思う。

 

(本紙「新文化」2024年3月7日号掲載)

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