第20回 人と地域と本と

 過日、ある本屋の店主から「残念ながら閉店することになった」と報告を受けた。以前、営業継続の相談を受けたこともあり、わざわざ足を運んでくださった。
 人口減少が続く無書店地域につくられた、まちのちいさな総合書店。そこには、地域に住む老若男女が集い素敵な本と出合える「場」としての本屋をなくしてはならないという想いがあった。
 店主は開店当時から、絶対必要だと思ってもらえる店づくりをしていけば、本屋が残っていく方法はあり、人と地域と本を繋ぐ本屋の仕事は、とにかく地域の声を聞くことなのだ、という考え方の下、ブレることなく地域のための本屋づくりを実践してきた。
 その姿に勇気づけられた一人として、17年前に生まれ育った地域を無書店地域にしてしまった当事者として、無書店地域をなくすためにできることを考え続けてきた者として、悔しさが込み上げてきた。
 過疎地において本屋は、民間の力だけで独立して成立するほどの商いにするのは難しい。住民が行政とともに本屋を誘致する動きもあるが、今のところ広がりを見せていない。教科書や図書館のデジタル化が進むなか、過疎地における本屋は一層苦しくなっていく。
 来週から、もう一度地方を巡り、解決につながるヒントを探す旅を始めようと思う。
 閉店した書店の跡地は「本屋とは別の形で地域住人と本との出合いの場」をつくるつもりだよ、と笑顔で教えてくれた店主。本当に本が好きな人なんだな。
(本紙「新文化」2021年10月21日号掲載)

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