第33回 出版業界全体で

 われわれ未来読書研究所の活動でもっとも大切な柱は、学校における読書推進活動だ。
 これまで、学校の現場で具体的にどのような活動が行われているかをヒアリングしてきた。そこから「生活のなかに本のある人を育てる」という視点を学んだ。
 読書と聞いて、小説やフィクションなどを読む「娯楽的読書」を想像する人が多いかもしれない。しかし、近年多くの学校で行われている読書推進活動は、生徒自身の課題発見と解決に向けた探究的な読書、いわゆる「機能的読書」へ導くことを目指している。
 本は様々な分野が用意されおり、読書を通じて私たちは楽しく知識を身に付け、ものを考える力を得ることができる。図書館などの設備が整備されているため、手に入れることが簡単で費用もそれほどかからない。
 未来読書研究所が提案する読書推進活動は「読書習慣は一生の財産や武器、生きる力や楽しみの源になりうる」と知ってもらうための機会づくりが中心となっている。その効用は国語力を培い、国語科の学力を向上させるだけではない。
 今後は図書館を活用した探求学習を定着させていければと思う。そこに、出版業界の皆さんのお力を貸していただきたいと切に願っている。  出版業界全体のコミュニティの力で、子どもたちと本を、学校と社会をつなぎ合わせることができないだろうか。
 興味をもっていただける方がいらっしゃったら、ぜひお声がけいただきたい。
(本紙「新文化」2022年5月12日号掲載)

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