第104回 教科書販売〝条件〟の再考を

全国の外商をおもちの書店の皆さん、一年で一番の繁忙期である教科書シーズン、お疲れ様でした。今年も無事に子どもたちに教科書をお届けすることができて、ほっと胸をなでおろしております。毎年のことながら、教科書供給の目途が立つと、気が抜けてしまい、節々の痛みとともに疲れが押し寄せてくるのですが、今年はとくにキツかった。

臨時バイトスタッフの賃金は、最低賃金の引き上げに伴い、昨年に比べると102円@1hのUPとなる。さらに生徒数の減少が効率を悪くする。そして我々スタッフも年を重ね、徐々に踏ん張りがきかなくなってきた。

近年、教科書販売を既得権益だと指摘し、扱える書店を増やせ! と煽る声を耳にする。そんな時、心のなかで「教科書を届けるためにどれだけ準備に時間を費やし、臨時スタッフの確保をし、身体痛めて作業してると思っているの? しかも責任重大なのに超絶薄利だし。もっとも大変なのはキャッシュフローの管理。これはね、その地域で商いを続けさせていただいていることに対しての感謝の表れでもあるんだぞ!」と叫んでいる。

強いていえば、教科書を届ける地域に「店舗」を構えていることを条件に加えるのは一考ではないか。近年、店舗を閉じ、教科書などの外商だけを扱う書店が増えている。

地域で本との出合いの場を維持し続けていることを、教科書供給所の条件とすることができないだろうか。

今こそ教科書インフラとしての書店の役割をしっかりと考えたい。

(本紙「新文化」2025年4月17日号掲載)

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