第40回 祝第40回!!

しつこいようだが、1月のブリベヤ旅行の話に戻らせてほしい。旅行最終日、私とCちゃんは1本の電話を待っていた。路面電車のなかで、Cちゃんの電話が鳴る。予定時間より早い。

「獲ったよ」

Cちゃんのアイコンタクト。私はらいおんbooksとして、Cちゃんは出版社の方の担当として2人で編集にかかわった、堀川理万子さんの『ひみつだけど、話します』(あかね書房)が坪田譲治文学賞を受賞したのだ!

電車を降りて、キビキビと業務連絡の電話を続けるCちゃんを尻目に、泣きながらみんなに状況を説明する私。

「泣いてる理恵ちゃんはなかなか生で見れない」

と、嬉々として私の写真を撮りだすAちゃん。富山で大好きな仲間と吉報を共有できたことが本当にうれしかった。

そして3月。岡山での授賞式に乗り込む。らいおんのメンバーも駆けつけてくれた。たくさん、乾杯した。岡山城で見た「酒百楽之長」の書を胸に、わたしたちにとって薬になるであろう適度な量を浴びるほど飲んだ。当日の理万子さんは、発光しているかのように、美しかった。

飲みながら、たくさん話した。そういえば、理万子さんのめくるめく物語世界に一気に飲み込まれ、いつか一緒にお仕事をしたいと決意した絵本が『おへやだいぼうけん』(教育画劇、堀川理万子作)だった。子どもたちの想像力豊かなごっこ遊びが描かれている。理万子さんが大人になっても絶対に忘れない、大事にされてるものが詰まっている大好きな一冊。

選考委員の一人である森絵都さんの選評が本当に胸に響き、御礼のメールをし、はじめて自分の活動を告白した。

「選考会のとき、隣に座っていた西本鶏介先生が、『この本は出版社の編集者じゃなくて、このらいおんってグループが企画したみたいだね。きっとその人たちも受賞して嬉しいだろうね』と仰っていて、私も面白い取組みをする人たちが現れたなと興味深く思っていた」

とのお返事をいただいた。賞は、もちろん作家さんのもの。でも、私たちの試みを気に留めてくださる方がいることに、喜びを抑えられなかった。

岡山では、空き時間に「推しが武道館いってくれたら死ぬ」の聖地巡礼までできた。モデルになったライブハウスに本物のご当地アイドルが、唐揚げ弁当をかかえて入っていくところに遭遇し、興奮。満喫しすぎた。

坪田譲治文学賞は第40回という節目の受賞! そして、この連載も第40回。この回に書けたことが、またうれし。

(本紙「新文化」2025年4月3日号掲載)

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