第105回 ひな型」改訂、課題の把握を

 4月10日、新文化オンラインが「再販契約書ひな型、第六条2項『官公庁等の入札に応じて~』を削除へ」と題した記事を掲載した。

 出版4団体で構成する出版再販研究委員会は同日、再販売価格維持契約書のひな型のうち「取次|小売」間および「出版|小売」間のものについて、「第六条 この契約の規定は、次に掲げる場合には適用しない」の第2項「官公庁等の入札に応じて納入する場合」を削除することを決定した、という記事だった。

 書店を経営する僕も、5月1日に改訂されることを報道で知ったのだが、そもそもこの改訂の意図はどこにあるか、そしてどんな課題があるのかを、しっかりと把握しておく必要があるのだと感じている。
 疑問が多すぎて一度で書ききれないが、今回はそもそもの契約について指摘しておきたい。

 再販売価格維持契約は、出版社―取次、取次―書店間で締 結され る〝民民契約〟であるので、たとえ契約書の条文が削除されたとしても、あくまで業界団体が「ひな型」を変えただけであって、すべての出版社、取次、書店が強制的に従わなければならないものでもない。

 また、契約書には両社合意のうえ改訂して運用できるものとする、と明記されている。改訂を推進した日書連の加盟店は、会の意向に賛同しているのであればそれでいいのかもしれないが、加盟店以外の書店(書店約8割)は、まずは改訂の経緯を聞いたうえで合意するかどうかの判断をすることになるのだろう。

(本紙「新文化」2025年5月1日号掲載)

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