文部科学省において、3月1日まで、「第5次『子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画』の案」に関するパブリックコメント(意見公募手続)を実施している。令和4年度は第4次計画の最終年度にあたり、この「案」は第5次計画策定の骨子となる。
学校図書館は、学校図書館図書標準によって充足率などを考慮しながら市町村で予算化するのが一般的だ。その財源としては、国から市町村に交付される地方交付税が充当されている。しかし、市町村が予算化した図書購入費と国から交付される地方交付税に大きな乖離があり、地方交付税の金額よりも図書購入費が少ないのが現状だ。
出入りしている学校の実際の図書予算が年々減少していると感じている出版関係者は多いと思うが、乖離が生じている本質的な要因に言及した提言を聞いたことがない。
子どもたちにとって、もっとも身近にある本と出合える場所はどこだろうか。それは学校図書館である。いま、学校図書館は「読書センター」としての機能から、「学習・情報センター」としての機能へ役割を変えつつある。娯楽的読書から機能的読書への転換ともいえる。そこに予算の壁が立ちはだかり、子どもたちが更新された情報を活用した学習ができない状況にあるのだ。ここを逃すとこの後9年間は現状を覆すことが難しくなる。
年々予算が削られていることを、売上減少だと嘆く前に、本質的な要因を取り除く努力が必要だと感じている。
(本紙「新文化」2023年2月23日号掲載)