第128回 デジタル教科書書店への影響

書店の繁忙期である教科書シーズン。ようやく終わりが見えてきた4月7日、重いニュースが飛び込んできた。紙の教科書を電子化し、タブレット端末などで閲覧する「デジタル教科書」を正式な教科書とする学校教育法改正案などを閣議決定した、という知らせだった。

ついにこの時が来たのね、と少し諦め交じりで記事を眺めつつその影響を考えていた。

まず、1冊あたりの輸送コストが高くなる。とくに地方の書店が、強い打撃を受けるだろう。都市部であれば、比較的近い範囲に学校が集まっているため、短い距離で効率よく配送できるが、地方では学校ごとの距離が離れているため、移動にかかる時間や手間が大きい。デジタル教科書の正式導入によって、紙の教科書の納品数が少なくなり、1回の配送でまとめて届けられる冊数が減れば自ずと、1冊あたりの輸送にかかる費用が増す。

需要の総量が減るだけであれば、市場規模の減少問題として捉えられるが、需要密度が低下すると、配送効率そのものが悪化し、配送単価の上昇に直結する。

さらに、教科書は必要な時期に確実に届けることが求められるため、採算性だけでなく、供給の安定性を維持する観点からも大きな負担となる。地方における教科書供給の維持は、どこに住んでいても同じように学べる環境を支え、教育機会の公平性を確保するうえでも重要である。書店は、教科書供給維持のインフラとして大切な存在であるが、いつまで採算ベースで対応できるのか、不安でしかない。

(本紙「新文化」2026年4月16日号掲載)

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