第17回 老後は読書三昧?

 ここ数カ月間、高齢者の読書についてヒヤリングを中心とした調査を行っている。高齢者の読書についての議論は思いのほか少ない。
 文化庁の「国語に関する世論調査」(2013年度)で、今後の自分の読書量を増やしたいか否かの意欲調査が行われている。男女を問わず50代を境に、読書量増加への意欲が失われていくことが分かる。
 楽天リサーチの「シニアの読書に関する調査」(同)では、75.5%の方々がここ数年で読書量が「減った」と回答した。最も多い理由が「文字が読みづらくなった」で56.8%。そして、「携帯電話やパソコンなどで時間がとられるようになった」、「仕事や家事などで、読書の時間が足りない」と続く。
 2カ月前から遠近両用の眼鏡を使用するようになった僕も、文字の読みづらさが読書活動に及ぼす影響を切実に感じている。老後は、のんびりと読書三昧の日々を夢見ていたが、果たしてその夢は叶うのだろうか。
 一方、京都市の訪問看護ステーションひのきが行った「地域在住高齢者の読書習慣に関する調査」(17年度)も、その考察が興味深いものだった。
 介護予防・日常生活支援という理学療法の観点から、読書習慣には活動量や認知機能向上の効果があるため、運動機能や栄養改善活動などと同じように、読書習慣の有無を聞き取ることの意義を訴えている。
 今後は、娯楽的読書だけではなく、機能的読書という側面から読書について見直してみたい。
(本紙「新文化」2021年9月9日号掲載)

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