デジタル教科書を正式な教科書と位置付ける改正法が成立した。僕は、教科書が紙でもデジタルでもよいと思っている。学びに役立つのであれば、どちらにもそれぞれの利点があるからだ。
ただ、書店を経営する者としては、できれば紙の教科書がこれからも使われてほしいという思いがある。地域の書店にとって教科書の供給は大切な基盤であり、それがあることで店も地域の学びも支えられている。
しかし、もし子どもたちの学びにとってデジタルの方がより役立つのなら、その流れを前にしては、自分たちの都合だけを言い続けるわけにはいかないのかもしれない。そう考えると複雑な思いもある。
学校で必要とされる教科書を、必要な時期に、必要な子どもたちのもとへ届ける仕組みは、長い時間をかけて地域ごとにつくられてきたもので、いったん弱ってしまえば簡単には立て直せない。そして、店頭での売上げが厳しさを増すなか、多くの地方の書店にとって、教科書事業は営業継続に欠かせない収益源となっている。
もちろん、最優先で考えられるべきなのは、子どもたちにとって何が最もよい学びにつながるのかという点である。
その一方で、教科書を必要な時期に必要な子どもたちへ届けるという役割を、長年にわたって地域で担ってきた書店の存在にも、ぜひ目を向けてほしい。紙かデジタルかという教育面だけでなく、その学びを地域で支える供給網をどう守るのかという点も併せて議論してほしいと願っている。
(本紙「新文化」2026年6月18日号掲載)

