書店にとって2月から4月にかけては、年度末の対応と、新年度の準備が同時にやってくる季節なので、長い冬を越え、春の訪れを感じながらも、花見をした記憶があまりない。
年度末か新年度のいずれかならまだ整理しやすいが、両方同時に始まってしまうので、終わらせる仕事と、始める仕事が、同じ机の上に並ぶことになる。机の上には、処理待ちの伝票の束が積まれていき、足元には学校別に束ねた教科書の山ができていくのだ。
年度末は「締める季節」で学校や役所の予算が動き、まとめての発注が入り、納品が重なり、請求や伝票の処理が増える。数字を合わせ、日付を合わせ、宛名を合わせ、間違いがないように、ひとつひとつ確かめる作業がひたすら続く。派手ではないのだが、手が取られ、静かに時間が削られていく。
この時期は、いくら人手があって足りないのだが、最低賃金の上昇に伴う人件費の高騰を抑えるため、金額は同じでも人員は減るという状況が続いている。今年は、異業種が提示する時給が上昇したことから、アルバイトスタッフの確保が困難だった。これが来年以降も続くと思うと、ため息しか出てこない。例年よりも腰や膝の痛みが強く出てしまうハプニングもあり、僕も歳をとったのだ、と実感している春であります。
今年の出張教科書販売も残すところ2週間というところで、いまこの原稿を書いている。
なんとか無事に今年度の納品を終えることができますように、と祈りながら。
(本紙「新文化」2026年4月2日号掲載)

