第64回 必要なのは調査と公表

自民党の議員連盟「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」(書店議連)が4月28日に第一次提言(たたき台)を示してから数か月が過ぎ、徐々に各提言に対する具体的な施策が示されつつある。

書店を取り巻く危機的状況を打開するため、提言では様々な方策を列挙しているが、そのためにどのようなプロセスのもとで動いているのかが見えにくい。

「不公正な競争環境等の是正」ひとつとっても、再販制度を厳守するため、ネット書店の実質的な値引き販売の実態調査を行うとしているが、過度なポイント付与はネット書店に限ったことではないという点を踏まえ、すべての書店を対象とした実態調査が必要だろう。そもそも「不公正な競争環境等の是正」を掲げる前に、過去の調査結果を公表したうえで是正を訴える必要があったのではないだろうか。

「公共図書館への過度の値引きと蔵書の抑制」についてもそうである。官公庁・公共図書館・学校図書館への納入の入札にあたって過度な値引きが行われるケースを批判しているが、そうなった経緯を調査し、結果を公表していただきたい。

公共図書館だけではなく、学校図書館の入札についても、調査と結果の公表をしてほしい。市町村により大きく事情が異なるが、装備備品・作業を含めると原価割れしているような価格設定での落札を余儀なくされている地域すらあり、あきらめの空気すらある状況をどうしたら改善できるだろうか。

(本紙「新文化」2023年8月24日号掲載)

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