「私の夢はスズキコージさんをお金持ちにすること。将来は全書店をスズキコージ書店にします」
そう言い続けてきた。大きなお世話なのだけれど、私にできる恩返し、本をたくさん売ることしか思いつかないのだ。子どもの頃はもちろん、友達とうまくいかなかった中学時代も、大人になって初入院を支えてくれたのも、コージさんの絵本だった。幸せにしてくれたから幸せになってもらいたい。
2008年、ジュンク堂書店新宿店で「スズキコージ生誕60周年」フェアをやった。全人類を幸せにするコージさんの魔力を伝えるため、私はエネルギーを爆発させていた。一店舗なんかじゃ、ぜんぜん足りない。いつか世界征服してやる! と心に誓った。26年、ようやくその野望に一歩近づく。2月28日の78歳の誕生日を丸善ジュンク堂書店全店で全力でお祝いするため、コージさんも太鼓判のイカしたグッズをEHONSでつくり「スズキコージ 祝78歳 大生誕祭」を開催することに。75店舗が参加し、18年越しに最高の祝祭の場が全国に広がった。展開初日、私は1万円以上爆買いした。自給自足・最大級の推し活だ。フェアがはじまると、たくさんの友人から称賛と激励をもらった。夢が叶ったんだなと、胸がじんとした。
バレンタインデー、私は神戸にいた。らいおんbooksでお世話になっている、絵本作家の大畑いくのさんの個展があったのだ。いくのさんはコージさんのパートナーでもある。会場にはコージさんもいて、一番のお気に入りと言ってくださったショルダーストラップを身に着けていた。もちろん私も装着している。推しとおそろい! なんて尊い! 会場にはすでにグッズを持っている方がいて、びっくりするやらうれしいやら。

一番近くのジュンク堂書店三宮店にすぐさま買いに行ってくださった方もいた。グッズを身に着けてみんなで写真を撮った。普段写真が苦手でうまく笑えないのに、歯を見せて笑顔の私がいた。
ちなみにコージさん制作のロゴを冠したらいおんbooksで企画・編集をし、いくのさんが描いてくださった『わたしたちのえほん』(文溪堂)は、愛する本が読みつがれ、多くの人に届くよう願いを込めた今の私のためにあるような一冊。パパもママも大好きだった絵本を軸に、主人公りくと物語の世界が交錯していく。世代を超えて読む喜びを共有できる絵本。好きな人と同じ時代に生きる幸せを噛み締め、私はこれからも愛を伝え続ける。愛が重くて、コージさんが胸焼けをおこしませんように。
(本紙「新文化」2026年3月5日号掲載)

