第136回 なぜ本を読むのか

7月25・26日に開催された出版文化産業振興財団主催の「子どもの読書みらいフォーラム」で、筑波大学付属小学校の白坂洋一先生と「家庭・学校・地域でつくる 子どもの読書」について対談した。対談の話題の中心となったのは「なぜ、本を読むのか」という問いだった。

この問いは、私たちNPO法人「読書の時間」が提供し続けている、読書推進プログラムのメインテーマでもある。あらためて考えてみると、この問いは子どもの読書と向き合ううえで、とても大切な入口なのだと感じた。

白坂先生の、読書は経験値を越えさせてくれ、自分では経験できない時間や場所、感情に、本を通して触れることができる。読書は心を耕すものだ、という言葉も印象に残った。

読書は、本を読むところから始まるのではなく、本を選ぶところからすでに始まっている。棚の前で立ち止まり、迷い、手に取り、ページを開く。その一連の流れそのものが、自分の考えを育てる時間になる。

ネット検索は便利だが、考える手間を先回りしてしまう面もある。だからこそ、書店や図書室で自分の手で本を選ぶ経験には、大きな意味があるのだ。本を読み、自分で消化し、考える。その積み重ねが心を少しずつ耕し、人生の選択肢を増やしていき、いつか自分を支える力にもなるのだと僕は信じている。

子どもたちが身近に本と出合う場所を守りたい。そして、その場所を活用し、「なぜ、本を読むのか」という問いを考えるきっかけづくりを続けたい、と思わせてくれた時間だった。

(本紙「新文化」2026年8月20日号掲載)

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