「全力疾走」そう言うのがぴったりな5年間だった。正確には準備期間を含めると、7年弱か。
EHONSの立上げにあたり、絵本のグッズ開発を命じられたとき、正直、やりたくないと思った。絵本の世界観は読者の想像力で形づくられるものだし、それを勝手に具現化することに嫌悪感すら覚えていたからだ。でも、どんどん話は進んでいく。大切にしている世界だからこそ、絵本とは何かをわかっていない他の人が触っておかしなことになるのも、いやだった。本を売るための施策だと腹をくくった。
例えて言うなら、ラーメンをつくったこともないのに「人気ラーメン店をつくれ」と言われたようなものだ。雑貨なんかつくったこともない。商談にいっても聞いたことのない言葉だらけ。年間で10本以上も商品企画を立ち上げ、店舗を運営することになるとは! 具材を探し、どうやったら美味しいスープができるか試行錯誤する日々。毎日が、勉強と構築だった。
10月20日、EHONSは5周年を迎える。そしてなんと世界文化社から『EHONS BOOK 絵本のとなりにある雑貨』を発売する! 50人の作家と紡いできた、1000点を超えるEHONSグッズを収録した、5周年記念オフィシャルブックだ(5年で1000点! すごくない?)。 グッズの紹介はもちろん、制作秘話やメーカー・工場訪問の舞台裏、絵本作家のお気に入りグッズ紹介、インタビュー、手描きメッセージ、コラムなど、EHONSのものづくりの裏側を詰め込んだ。さらに、作家・石井睦美さんによる書き下ろし「5つの小さなモノがたり」も収録されている。これが本当に素敵!
この1年半、私自身も監修という形で制作に関わらせていただいた。編集は、フリーで活躍されている柴田こずえさんと、世界文化社の渡邉侑子さんという大好きなお二人。デザインは、いつかお仕事をご一緒したいと願っていた朱猫堂の坂川朱音さん。これ以上ないくらいの最強布陣でなんとも贅沢な一冊になった。
そして、EHONSの5周年を記念して、どいかやさんが手がけた絵本「チップとチョコ」シリーズ(文溪堂)の主人公、チップとチョコが記念アンバサダーに! かわいらしいロゴも描き下ろしていただいた。シリーズ1作目『チップとチョコのおでかけ』が誕生して、ちょうど30年。EHONSと「チップとチョコ」、ふたつのお祝いを一緒に展開していく。なにもなかったところから始まったこの事業の輪郭をそっと撫ぜながら、今だけは自分を褒めておこうと思う。
(本紙「新文化」2026年10月8日号掲載)

