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第41回 「本を読む人」を見る
先日、出版社のアノニマ・スタジオが主催するブックマーケットが3年ぶりに開催された。 全50ブース・56社が参加する本のお祭り。3年前にはお客さんのひとりとして参加したが、今年はほんの2時間だけ、売り子をすることになっ […] -
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第79回 贅沢読書
三国の海を望むイタリアンでパスタランチを食べた。といっても海までは相当距離がある。そこは高台で、斜面に根を張る桜の木に囲まれたテラスにはソファが並び、枝々の間に海がキラキラと輝く。 オーナーは昼の営業を終えるといった […] -
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第78回 「ない」の証明
最初はPHSだった。白いおもちゃのような筐体をポケットに入れて納品の作業をしていると、店内のどこにいても、自分の担当ジャンルについての問合せに対応できる。ある程度の広さの書店なら、お客様をお待たせする時間を短縮し、売り […] -
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第40回 現実が見える
現実って一体何だろう。子どもの頃、自分と目の前の友だちが交換不可だと気付いた瞬間を思い出す。もしくは自分が「在る」とはどういうことかと悶々とひとり考えていた中学生の自分を。またはもっと美人に生まれていたらと自分の容姿と […] -
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第18回 中高生が読む小説以外の本、共通点は「陰キャの自己慰撫」
学校読書調査の結果わかった「中高生がよく読んでいる本」のうち、小説以外のものを見ると、ある共通点があることに気づく。ひとことで言えば、「陰キャの自己慰撫」(陰キャ=後ろ向きな人)だ。それをひとつずつ見ていこう。 まず […] -
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第77回 旅先の書店
仕事で愛媛県の道後温泉に滞在している。夕方までは時間があるので、朝目が覚めたらオレンジ色の路面電車に乗って、あちこち出掛けるのが日々の楽しみだ。 繁華街らしき「大街道」で下りると、目の前の商業施設に明屋書店の看板を見 […] -
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第76回 ストリップ劇場でサイン会
道後温泉にあるストリップ劇場は昼間、うどん屋として営業しているらしい。温泉客は宿で食事を摂って夜の街へ繰り出すから、営業開始時間が遅いのだ。それまでの間、別の業態で場所を活用することは経営を助けるし、地元の人や観光客に […] -
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第17回 存在感増す児童文庫作品、中学生のラノベ離れと対照的に
学校読書調査で明らかになった中高生の〝ラノベ離れ〟に関しては、本欄でも何度か触れてきた。それと対照的に、中学生において存在感を増したのが、児童文庫作品だ。 2021年の同調査では、「今の学年になってから読んだ本」の上 […] -
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第39回 「趣味」という快楽
これを書いている今も、そしてこの原稿が出る頃も、おそらく私は「カムバ」で忙しい日々を送っている。 カムバック、通称「カムバ」とは韓国のアイドルが新しいアルバムをリリースして活動をすること。日本のアイドルと違って、バラ […] -
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第75回 もう○○ない!
タモリといえば「笑っていいとも!」の司会というイメージだが、かつてCDを出していたことを憶えている人はいるだろうか。正確には私が生まれる前に発売したレコードの、復刻版CDだ。 知人からそこに収録されたネタの話を聞き、 […] -
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第74回 自分のお店
新宿の喫茶店「らんぶる」で元同僚を待っている。日比谷コテージの閉店以降、顔を合わせていないが、きっと絵を描いたり服を作ったり、彼女らしく過ごしているのだろう。 隣のボックス席から聞こえてくる会話に耳を傾ける。どうやら […] -
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第16回 「ラノベ」の新しい人気シリーズ、「探偵はもう、死んでいる」を分析
中高生におけるラノベのプレゼンスの低下、読まれるタイトルの固定化(「ソードアート・オンライン」、〈物語〉シリーズ、「キノの旅」といった10年、20年選手が強く、新作は弱い)については、本連載の過去の回でも触れてきた。 […] -
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第38回 読むための筋力
筋肉は嘘をつかない。 とはいえ、筋力トレーニング後のパンプアップに対する感慨ではなくて、私の場合は筋肉痛への所感だ。 先日、どうしても1時間以上歩かなければいけない状況に陥った。話し相手がいたということもあり、歩い […] -
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第73回 私の上野
高校生の頃、上野駅構内の居酒屋でアルバイトをしたことがある。あの頃はまだ、地下通路の脇にホームレスの人や酔い潰れた人が座っていて、治安がいいとは言えない場所だった。 瓶ビール用のサッポロだかキリンだかのロゴがプリント […] -
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第72回 いざ、神保町へ!
「異動で離れた店舗には一切近付かない」と、潔く言い切る上司がいた。確かに、後を継いだ人にとってはプレッシャーだし、手を出せないもどかしさもあるだろう。 しかしその日の私は、娘のアルバイト先に偶然を装って押しかける母み […] -
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第37回 趣味は何ですか
自己紹介が苦手だ。 4月といえばと思い返してみて、毎年自己紹介が嫌だった思い出しかないくらい苦手だ。当たり障りのない自己アピールの正解を探し続けているうちに学生時代が終わってしまった。 自己紹介がたいてい出席番号順 […]